ネパールの脊椎外科医とのWeb症例検討会 開催報告

2026年7月25日、当法人主催による「ネパールの脊椎外科医とのWeb症例検討会」を開催しました。
本検討会は、脊椎脊髄外科診療を通じて、ネパールをはじめとするアジア諸国の脊椎外科医との交流を深めることを目的に、3~4か月に1回開催しているものです。今回で8回目を迎えました。当日は土曜午後から夜にかけての開催にもかかわらず、ネパール、日本に加え、マレーシアや韓国からも参加があり、計75名、日本からは22名が聴講しました。ネパールと日本から各2演題、計4演題が提示され、いずれの症例についても活発な質疑と意見交換が行われました。
私自身、本検討会への参加は今回が初めてでしたが、経験の浅い私にもお声掛けいただき、光栄にもDr. Dipak Shresthaとともに進行を務める機会をいただきました。慣れない役割ではありましたが、両国の先生方による活発な議論を間近で拝聴し、進行役として会に携われたことは、私にとって大変貴重な経験となりました。
開会にあたり、三原久範理事長およびDr. Bimal Kumar Pandayから、両国間の継続的な学術交流への期待を込めたご挨拶をいただきました。

ネパールからはDr Prem Shahi、Dr. Ram Krishna Barakotiより、治療方針の判断が難しい脊髄腫瘍の症例が2例提示されました。いずれも適切に手術が行われており、同国における脊椎外科診療の水準の高さを実感しました。また、日本からも分野を代表する先生方が多数参加され、専門的な討論を通じて多くの知見を得ることができました。特に、脊髄腹側腫瘍に対しては、椎間関節切除を行い外側から進入する方法や、en bloc切除に必ずしもこだわらない方針について議論されました。また、ダンベル型腫瘍の椎間孔外病変については、全切除を一律に目指すのではなく、椎骨動脈との位置関係や切除の難易度などを踏まえ、総合的に判断することの重要性が共有されました。
今回は東京大学からも2演題を発表する機会をいただきました。吉田厚志先生からは、頚髄症に由来する下肢痛に関する臨床研究が報告されました。私は、高度な局所後弯を伴う頚椎脊柱変形に対し、術前および術中のHalo牽引が有用であった症例を提示しました。両演題とも、ネパール側の先生方から多くの質問やご意見をいただき、活発な議論を行うことができました。異なる医療環境や経験を持つ先生方と意見を交わすことで、新たな視点や気づきを得ることができ、非常に有意義な機会となりました。
最後に、高畑雅彦委員長から閉会のご挨拶をいただき、検討会は盛会のうちに終了しました。
本検討会の開催にあたり、企画および準備の段階から多大なるご助言とご支援を賜りました高畑雅彦委員長、三原久範理事長、ならびにアジア・パシフィック交流委員会の先生方に、心より御礼申し上げます。また、症例をご提示いただいた先生方、積極的に討論へご参加いただいた皆様、運営にご尽力いただいた関係者の皆様にも、改めて深く感謝申し上げます。今回の症例検討会を通じ、国や地域を越えて症例や知見を共有し、互いに学び合うことの重要性を改めて実感しました。このような継続的な交流が、両国のみならずアジア全体の脊椎外科診療の向上につながることを期待しています。今後も一つひとつの交流を大切にしながら、アジアにおける医療の発展と学術交流に微力ながら貢献してまいりたいと存じます。
東京大学 半井 宏侑
